●本

臨場 横山秀夫

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去年六月に放送された内野聖陽主演のテレビ朝日作成ドラマの原作、今は原作本に無い「臨場2」が放映されている。TVでは当然主人公の倉石義男が大活躍するが、原作では登場枚数は意外と少ない、考えてみれば鑑識が要する時間より、犯人逮捕までの時間の方が遙かに長いし、人数も多いのであたりまえなのか。

このドラマを見るまでは鑑識は警察の下請けの様な存在で、じゃけにされる事が多い(これは本の中でも記されていた)が、鑑識が事故死、自殺と判断すれば、刑事の出番は無くなる、しかし殺しと判断すると、刑事が一斉に駆り出されて捜査本部が設置される訳だから、実に重要な部署と言える。反面見た手違いもあり後に鑑識結果が覆り殺人から自殺に変わったりすることもある。

そして、この倉石義男は「終身検視官」の異名を取り、通常は5年以上同じポストにはいないが、彼の見立てに間違いが無い上に、検死結果のみならず、状況を判断し犯人を特定してしまうと言うあり得ない話かもしれないが、骨太な小説だった。

短編なのが惜しいくらいで、どれも長編大作になりうるアイデアが豊富で、もっと長く読んでいたかった。

ゴールデンスランバー 伊坂 幸太郎

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神さんが去年新しい本を買うと言って、当時ベストセラーだったこの本を買っていたが、読んでいなかったので病院に持ってきて貰った。「ゴールデンスランバー」内容やミステリーとはほど遠い題名で、僕らの世代ではぴんとくるのはビートルズ最後のオリジナルアルバム(「レット・イット・ビー」の方が発売は遅いが最後に録音された)「アビーロード」に納められている、静かなメロディーから始まり、さびが力強い名曲だ。

本の中にもこの名曲の説明もあるし、ポール・マッカトニー似の登場人物も出るが、物語は、JFケネディとオズワルドの日本語版なので、ミステリーとは言えない気がする、仙台を舞台にしているが、ファミレスで銃器をぶっ放す警察や、連続殺人犯が登場する場面は現実感が薄い、しかし読み始めてすぐに事件をTVを見ている一般人の目を通して描き、直ぐに二十年後が描かれたりと構成が新鮮で、架空の国の話と思えば面白かった。

今年の正月に映画が公開されていた、二時間で全てを描ききれないだろうから、先に本を読んでしまったので、つまらなく感じるだろうな。

天使と悪魔

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5月15日から全世界同時公開されている映画『天使と悪魔 ANGELS & DEMONS』のダン・ブラウン原作本が三男坊の部屋に置いてあった。

あまり本を読む事が無かったが、何かをきっかけに読み始めるのは自分と一緒かもしれない、学生時代は嫌いだった読書がTVで幕末ドラマ「勝海舟」を見てから読み始めた。

『ダ・ヴィンチ・コード』は本を読んでから映画を見たが、やはり物足りなかった、とは言え難解なストーリーかと思われる今作品もいきなり映画を見ても理解できないと思われるので、原作を半分読んでから見る事にしようかな。

・天使と悪魔 - オフィシャルサイト

転々 藤田 宜永

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三木聡監督の映画を見てからこの本を買った、二時間足らずで原作を表現するのは難しいからやはり本を先に読むより映画を見てから本を読んだ方が良い。映画とは主人公の二人のイメージはぴったりだが、月光仮面のコスプレをしている中年の話あたり迄でほんの一部しか合っていない、仮想家族をとチープな笑いを混ぜた映画とは全然違う。

団塊の世代に愛一郎は変だと思ったのである意味予想は出来たが後半の展開はちょっと意外だった、だが全般に流れる空気は実に気持ちが良い、ミステリーを感じさせつつ面白いドラマだった。

内容(「BOOK」データベースより)
借金をかかえた青年・文哉の前に現れた無頼な風体の男。「百万円払うから一緒に散歩しろ」という奇妙な提案を受け、文哉は男と共に歩き出す。井の頭公園から出発し、東京を東へと横断してゆく二人。現実の歩みはいつしか記憶の中の風景と重なり、文哉は今までの人生で失ったものを取り戻そうとするが、短い旅の終わりには衝撃の結末が。夢と孤独が交錯する哀愁ロード・ミステリー。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
藤田 宜永
1950(昭和25)年、福井市生れ。早大中退後、渡仏。エール・フランス勤務、帰国後のフランス語教師などを経て、エッセイを書きはじめる。’86年『野望のラビリンス』で小説デビュー。’95(平成7)年、『鋼鉄の騎士』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会特別賞受賞。’97年の『樹下の想い』で恋愛小説にも新境地を開き、2001年『愛の領分』で直木賞を受賞した。

ダ・ヴィンチ・コード最終解読

ダ・ヴィンチ・コード 最終解読
「ダ・ヴィンチ・コード」は全世界で4,000万部近く売れ、2年間売り上げ15位に入っているというマンモスベストセラー、本の冒頭に「事実」として書かれている1,099年に設立されたシオン修道会の事、フランス国立図書館が発見した「秘密文書」そのもの、またその内容、小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述はすべて「事実」と再度念押しをしている。

この記述が無ければこれほど売れなかったのかは解らないが、この小説の誤りを的確に指摘する書籍が米国には多くあるにも関わらず、日本では初めての本だそうだ、興味を引く内容も多く、ネタ本としても面白かった。但し一般の本屋では置いているところは見つからなかった、映画も公開されて、相乗効果を狙っているのだろうから、それを否定する本は置かないのだろうが、アマゾンでの評価は高かったので取り寄せて貰った。

この本を読んでみるとやはり「ダ・ヴィンチ・コード」はノンフィクションと言えるだろう、冒頭に「事実」と書かなければこんな本も出てこなかっただろうが、それでも、良くできた小説で、うんちくも多く面白かったのも確か。

ダ・ヴィンチ・コード最終解読文芸社

ダ・ヴィンチ・コード キーワード完全ガイド

ダ・ヴィンチ・コード キーワード完全ガイド
本を読んで、映画を見ても、解ったのはおおまかなストーリーと綺麗な映像だった、もう一度じっくり本を読もうと思っていたが、本屋に立ち寄ると関連書籍がいっぱい出版されている、通勤時に読むには文庫サイズが良いので、何気なくこの本を選んだ。

「真実」を探る「55」の手がかりとの事で、小説の見解を別な角度で解説していて、本の下段に更に大事なキーワードに解説を加えて実に読みやすく、西洋の歴史、宗教、芸術、文化のほんの触りだが実に興味深く読めた。

「テンプル騎士団」「五芒星」「聖杯」「死海文書」「メロヴィング朝」「黄金比」「コンスタンティヌス帝」「大天使ガブリエル」「サラディン」「太陽神ラー」等々もっと知りたい事柄がわんさと出てきた、この本を読んでから再度小説を読もうかと思っていたが、次はこの本を読んでみようか。

・ダ・ヴィンチ・コード最終解読

ダ・ヴィンチ・コード キーワード完全ガイドぶんか社

東野圭吾著「宿命」「悪意」

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東野圭吾はデビュー作「放課後」で1985年 第31回 江戸川乱歩賞受賞し、1999年に99年「秘密」で第52回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞、そして2006年1月17日に「容疑者Xの献身」で第134回直木賞を受賞した。今放送中のTVドラマ「白夜行」も東野圭吾原作で、いまや絶好調。

そこで、初めて著者の作品を無造作に二つ選んで読んでみた、「宿命」はトリックを多用するより人物模写に重点を置いて、ありえない意外性を意外では無いように思える程、じっくり書き込んでいるので、感情移入しながら読めた。

「悪意」は序盤である事が起こり、その後にどんどん変わっていくと言う、今までに読んだ事の無い構成で、ぐいぐい引き込まれて読めた。

どちらも十分楽しめたので、今後も東野圭を読んでみよう。
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